足立区の探偵が記録する東京 浮気調査|金曜だけ「外科医」を演じた夫の正体

東京 浮気調査の実録|足立区の探偵が暴いた「金曜だけ外科医になる夫」の二重の嘘

浮気の証拠をつかむこと自体は、決して難しくない案件だった。だが、つかんだ先に待っていたのは、思いもよらない結末だった。妻も、浮気相手の女性も、たった一人の嘘つきな男に振り回されていた——。東京を拠点に30年探偵をしている自分が立ち会った、後味の悪さでは忘れがたい一件である。

金曜日だけ、別の男になる夫

埼玉県所沢市に住むその主婦が事務所を訪ねてきたのは、よく晴れた平日の昼下がりだった。三十五歳。身なりはきちんとしているが、目の奥に疲れの色が滲んでいる。長いあいだ何かを我慢してきた人間の、あの独特の表情だ。

「夫の浮気を、調べてほしいんです」

そう切り出した彼女の口調には、不思議なほど熱がなかった。怒りでも、悲しみでもない。すでに何かを諦めきった人間の、平坦な声。話を聞けば、夫は医療機器メーカーの営業マン。ごく普通の会社員である。ただ、毎週金曜日になると決まって帰ってこない。外泊か、よくて朝帰り。

「理由を聞いても、嘘ばっかりなんです。それも、すぐバレるような幼稚な嘘」

接待だ、出張が延びた、同僚が酔いつぶれて介抱していた——。中学生でももう少しマシな言い訳をするだろうという代物を、夫は悪びれもせず並べ立てる。妻はとっくに信じていない。むしろ、その場しのぎの嘘を聞かされるたびに、心が一枚ずつ剥がれ落ちていくようだったという。

「もう、離婚しようと思ってます。ただ、証拠がないと、ちゃんと話が進まないでしょう」

依頼の動機は、復縁でも、夫を取り戻すことでもない。きれいに別れるための、最後の事務手続き。それが彼女の望みだった。

調査は、拍子抜けするほど簡単だった

調査員三名で当たったが、この案件は驚くほどあっさりカタがついた。問題の金曜日、会社を出た夫を尾行すると、まっすぐ向かった先はとあるマンション。一人の女性が出迎え、夫は当たり前の顔で中へ入っていく。出てくるのは翌朝だ。二度の出入りを押さえ、二人が腕を組んで歩くツーショットも撮れた。相手の女性の氏名も、勤め先も、ほどなく特定できた。

百戦錬磨の探偵からすれば、教科書どおりの浮気だった。隠す気もない、詰めも甘い。我々は粛々と浮気調査の報告書をまとめ、依頼者に手渡した。あとは慰謝料の話だ。妻の意志は固かった。「離婚して、取れるものは取りたい」。当然の権利である。

我々は依頼者に付き添い、提携している弁護士事務所へ同行した。弁護士から浮気相手の女性へ、内容証明郵便が送られる。よくある流れだ。これで相手は青ざめ、示談に応じる——たいていは、そうなる。

ところが、この案件は、そこから様相が一変した。

浮気相手からの、猛烈な抗議

内容証明が届いてほどなく、その女性から猛烈な抗議が返ってきたのである。それも、ただの逆ギレではない。彼女の主張は、こちらの想定をことごとくひっくり返すものだった。

まず——夫が彼女に名乗っていた名前が、まるで違う。

そして彼女が語った「彼」の人物像は、こうだ。九州の名門大学病院に勤める、独身の外科医。毎週金曜日に東京へ戻り、都内の名門私大病院で一日だけ特別に執刀している、多忙な医師。近々、彼女と結婚して赤坂のマンションに引っ越す予定で、その話も具体的に進んでいた。さらに彼女は、その「医師」に三十万円ほどの金まで貸していた。

つまり彼女は、浮気相手ではなく、結婚を約束された婚約者のつもりでいたのだ。そして金まで貢いでいた、れっきとした被害者だった。

弁護士から依頼者にこの話を伝えると、彼女はしばらく黙り込んだあと、力なくこう言った。

「……その女の人の言ってること、たぶん嘘じゃないと思います。あの人、昔から、そういうところがあるんです」

虚言癖。妻は知っていた。夫が、平気で別人の人生を語る男だということを。だが、まさかここまでとは思っていなかった。

それぞれの、空っぽな心

ここで、三人の心の内を覗いてみる。

まず、間抜けな夫。彼はなぜ、こんな手の込んだ嘘をついたのか。医療機器の営業マンという現実の自分に、よほど満たされないものがあったのだろう。金曜の夜だけ、彼は「九州から通う敏腕外科医」という、誰かの憧れる人生を演じることができた。嘘をつくたびに、空っぽの自分が少しだけ立派に見える。その甘い錯覚に、彼は溺れていったのだ。妻への幼稚な言い訳も、本当はバレてもよかったのかもしれない。彼にとって現実は、雑に扱ってかまわない、どうでもいいものだったのだから。

次に、浮気相手の女性。彼女は、エリート外科医との結婚という夢を見せられ、信じ、金まで差し出した。彼女が抗議の声を上げたのは、後ろめたさからではない。自分こそが裏切られた被害者だという、本物の怒りからだった。皮肉なことに、その怒りこそが、彼女の潔白の証になってしまった。

そして依頼者である妻。彼女は慰謝料を取り、けじめをつけて新しい人生へ進むはずだった。ところが蓋を開けてみれば、相手の女性もまた、夫に騙された被害者だった。慰謝料を請求するどころか、頭を下げたいような居心地の悪ささえある。彼女が最後に漏らした言葉は、怒りでも憎しみでもなかった。

「ただただ、恥ずかしい。それだけです」

淋しい幕引き

その後の顛末は、淋しいものだった。夫を問い詰めても、彼は黙ったままだった。言い訳すらしない。これまで嘘ばかり並べていた男が、肝心なところで貝のように口を閉ざす。もはや弁解の余地もないと、自分でわかっていたのだろう。

ここまでのことをされて、離婚以外の選択肢などあるはずもない。夫婦の関係は終わった。浮気相手の女性が被害者である以上、彼女から慰謝料を取ることはできなかった。妻が得たものは、何もない。

相手の女性は警察に駆け込んだらしいが、「これは民事です」と門前払いされ、被害届は受理されなかった。詐欺で立件するには証拠が足りず、夫が逮捕されることもなかった。嘘で二人の女性を振り回した男は、罰せられることなく、ただ静かに二つの関係から消えていった。

残ったのは、空っぽの男がついた嘘と、それに振り回された二人の女性の、深い徒労感だけ。妻の「恥ずかしい」というひと言が、この事件のすべてを言い表している気がした。

この事件が教えてくれること

浮気の証拠をつかむことと、その後の解決がスムーズに進むことは、必ずしもイコールではない。今回のように、相手の女性自身も騙された被害者だったというケースでは、慰謝料の話は一筋縄ではいかない。だからこそ、調査の段階で相手の素性や背景まできちんと押さえておくことが、その後の判断を大きく左右する。

配偶者の言動に不審を感じている、けれど一人ではどう動けばいいかわからない——そんなときは、感情のままに動く前に、まず一度プロに相談してほしい。事実を正確につかむことが、納得のいく次の一歩につながる。東京・足立区を拠点とする弊社では、初回のご相談を無料で承っている。まずは無料相談フォームから、お気軽にご連絡いただきたい。


よくある質問(FAQ)

Q. 浮気相手の女性も夫に騙されていた場合、慰謝料は請求できますか?

A. 相手が「既婚者だと知らなかった」と認められる場合、慰謝料請求は難しくなります。慰謝料は、相手に故意または過失があってはじめて成立するためです。今回のように相手が独身と信じ込まされていたケースでは、相手も被害者と判断され、請求が認められないことがあります。調査の段階で相手の認識や背景まで確認しておくことが重要です。

Q. 配偶者が独身や別人を装って交際していた場合、詐欺罪に問えますか?

A. 嘘をついて金銭をだまし取った事実が立証できれば詐欺罪の可能性はありますが、立件のハードルは高いのが実情です。多くの場合、警察からは民事の問題と判断され、被害届が受理されないことも少なくありません。まずは証拠を整え、弁護士に相談することをおすすめします。

Q. 夫の浮気調査は、どのくらいの期間で終わりますか?

A. 対象者の行動パターンによって幅がありますが、今回のように曜日が決まっているケースでは、比較的短期間で証拠をつかめることもあります。逆に警戒が強い相手の場合は時間を要します。まずは無料相談でおおよその見通しをお伝えします。

Q. 浮気の慰謝料請求は、どのような流れで進みますか?

A. まず探偵による調査で浮気の証拠を確保し、報告書を作成します。その後、弁護士を通じて相手へ内容証明郵便を送り、示談交渉に入るのが一般的な流れです。弊社では提携する弁護士事務所への同行など、調査後のサポートも行っています。


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※本記事は実際の調査経験をもとにした実録ですが、依頼者および関係者のプライバシー保護のため、地名・状況・人物像など細部に脚色を加えています。特定の個人・団体を指すものではありません。

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