
東京 浮気調査の実録|足立区の探偵が巻き込まれた、車に潜む妻と修羅場の一日
浮気の証拠を押さえること自体は、なんてことのない仕事だった。だが、その日、自分を待っていたのは、依頼者本人に振り回される数時間という、思わぬ地獄だった。カーチェイスまがいの尾行、車の後部座席に潜む妻、そして修羅場——。東京を拠点に30年探偵をしている自分が体験した、忘れたくても忘れられない一件である。
男勝りな女社長からの依頼
その依頼者を、初めて事務所で見たときの印象は、今でも忘れない。建築屋の女社長、55歳。たとえるなら、絵に描いたような大阪のオバちゃんである。派手な出で立ち、遠慮というものを知らない物言い、こちらの話など一切聞かず、ひたすら自分のことを喋り続ける。小太りで、品があるとはお世辞にも言えない。だが、その押しの強さには、妙な迫力があった。
用件は、夫の浮気調査だった。聞けば、この夫の浮気は今に始まったことではなく、何度繰り返しても治らないのだという。相手の女のことも、ある程度は把握していた。韓国クラブで働く女性らしい。ただし、写真の一枚もない。確証はないが、勘でわかる——そういう種類の確信を、彼女は持っていた。長年連れ添った妻の勘というのは、たいてい当たるものだ。
調査は、金曜と土曜の夕方から、という段取りで話がまとまった。準備を整え、その日を待つ。だが、事態は、こちらの段取りなど軽々と飛び越えてやってきた。
「今すぐ来て!」の一本の電話
ある日の夕方、すさまじい勢いで電話が鳴った。出るなり、彼女はまくし立てた。
「今から女と会いに行くから、すぐに来て!」
「え、今すぐは無理ですよ調査員はそんなにすぐ集まらないですよ」
「あなたがいるじゃない!早く来て!」
理屈もへったくれもない。1人での調査は、見失ったり撮り損ねたり、失敗のリスクが高い。そう説明しようとしたが、
「とにかく来て!会社の敷地のところに車が二台並んでるけど、ハイエースのほうね!」
もはや、こちらにノーという選択肢は残されていなかった。電話口で押しまくられ、気がつけば自分はカメラを掴んで車に飛び乗っていた。プロとしてどうなんだ、という思いは胸の奥にしまい込む。あの押しの前では、正論など無力である。
現場に着くと、たしかに車が二台。白いハイエースと、紺色の古いレクサスが並んで停まっていた。到着して五分ほど経った頃だろうか。痩せた男が小走りで現れ、ハイエース——ではなく、レクサスのほうに乗り込んだ。
「……そっちかえ」
女社長の情報は、さっそく一つズレていた。だが、対象者が動き出した以上、迷っている暇はない。
半分カーチェイスのような尾行
そのレクサスが、とにかく飛ばす。親の死に目にでも駆けつけるのかというほどの勢いで、ビュンビュンと車線を縫っていく。こちらも必死で追う。もはや尾行というより、半分カーチェイスの様相である。
細い道から国道へ出ると、車はすぐに停止した。そこで待っていた35~6歳の小奇麗な女性を助手席に乗せると、またもや急発進。これは尾行を警戒しているわけではない。単純に、この男の運転が「せっかち」なだけなのだ。車に乗り込む前から、すべての動作が忙しい。おかげでこちらも、相手に気付かれる心配なく、堂々とあとを追うことができた。
そして案の定、レクサスは滑り込むようにラブホテルへと入っていった。車の乗り降りが外から丸見えになる駐車場に停め、二人はホテルへ消えていく。やはり男の動作は早い。女性のほうは、半ば引っ張られるようにその後に続いた。ちょうど一部始終が見渡せる位置に車を停められたので、自分は必要な映像を一通りビデオに収め、車に戻った。ふう、と一息つく。あとは依頼者に報告するだけだ。LINEで一報を入れる。
既読がついたか、つかないか。そのタイミングで、電話が鳴った。
タクシーで乗り込んできた依頼者
「ホテルの住所、教えてちょうだい!私、そこに行くから!」
「あらら……修羅場か」。胸中でそうつぶやきながらも、仕方なく住所とホテル名を伝える。止めたところで聞く人ではない。
十分ほどして、一台のタクシーが到着した。降りてきたのは、トンボのような大きなサングラスに、ミンクらしき毛皮のコートをまとった、丸々とした人影。例の社長である。目ざとくこちらを見つけると、まっすぐ駆け寄ってきた。
後部座席に乗せ、ここまでの流れをかいつまんで説明する。とはいえ、たいして説明することもない。そして案の定、彼女はろくに聞いてもいなかった。代わりに始まったのは、長い長い苦労話だった。この夫とは再婚で、酒、ギャンブル、女——絵に描いたようなダメ男に、ずっと振り回されてきたこと。今も生活は決して楽ではないこと。鼻水を垂らし、涙をこぼしながら、彼女は喋り続けた。自分はただ、黙ってそれを聞いていた。派手で強引なだけの人かと思っていたが、その奥には、長年こらえてきた疲れがにじんでいた。
ひとしきり泣いたあと、彼女は突然こう言った。
「あ、そうだ。私、この車のキー持ってるから、中で待ってるわ」
止める間もなかった。彼女はレクサスの鍵を開け、後部座席に乗り込んで身を潜めた。スモークガラスのおかげで、外からは中の様子はわからない。自分の位置からは、丸まった背中がかろうじて見える。——嫌な予感しかしなかった。
潜伏、そして修羅場
ホテルに入って、30~40分が過ぎた頃。夫と女性がホテルから出てきて、レクサスに乗り込もうとした。滞在時間も早いが動作も早い。そして——運転席と助手席のドアが、半分開いたところで急に閉めた。
そりゃそうだ。中には、オバちゃんが潜んでいるのだから。
そのときの二人の驚きようは、筆舌に尽くしがたいだろう。逃げようとする女性、それに掴みかかるオバちゃん、慌てて間に割って入る夫。絵に描いたような修羅場が始まった。自分は巻き込まれまいと、わざと目線を反対側へ逃がしていた。
だが、それは許されなかった。
「来てー!きてー!キテーッ!!!」
オバちゃんの絶叫である。諦めて、その渦中に足を踏み入れる。顔を引っ掛かれるほどのもみ合いのなか、ふと夫がこちらを見て言った。
「お前、だれだ?」
「探偵」
一言だけ、そう答えた。それ以外に言いようがない。すると、夫の体からふっと力が抜けた。女性も、逃げるのをやめた。「探偵」という二文字の前では、もはやどんな言い訳も意味をなさないと悟ったのだろう。オバちゃんは女性のバッグをがっちり握ったまま、離さない。
地獄のファミレス
ようやく解放されると安堵したのも束の間、オバちゃんがレクサスの窓から顔を出して叫んだ。
「後ろ、付いて来てぇー!」
「マジか……」。渋々、あとを追う。たどり着いた先は、足立区内のごく普通のファミレスだった。車を降りて店内に入ると、オバちゃんが手際よく采配を振るう。
「あたしとこの人はこっちで話するから、探偵さんは主人とそっちに座ってて」
なんという采配だろう。こうして自分は、浮気をしていた夫と二人、同じテーブルに取り残された。会話などあるはずもない。気まずい沈黙だけが、重く流れていく。
しばらくして、夫がビールを片手に、独り言のように口を開いた。
「探偵って……生産性の無い仕事やのー」
カチンときた。だが、その顔をちらりと一瞥して、自分は無視を決め込んだ。男はこの空気に耐えかねたのか、「生まれはどこ?」などと話を振ってきたが、こちらは完全黙殺を貫いた。お前と世間話をする筋合いは、どこにもない。
三十分ほど経った頃、ようやくオバちゃんが戻ってきた。憑き物が落ちたような、にこやかな顔で。
「こっちは話し終わったから。今日はありがとうね」
こうして、自分の長い長い地獄の時間は、ようやく幕を閉じたのだった。
この事件が教えてくれること
浮気の証拠を押さえること自体は、なんてことのない仕事だった。だが、依頼者が感情のままに現場へ乗り込むと、調査は思わぬ修羅場に発展する。今回は大事には至らなかったが、一歩間違えば暴力沙汰や思わぬトラブルにつながりかねない。だからこそ、証拠を確実に押さえたうえで、冷静に次の一手を考えることが何より大切だと、改めて思い知らされた一件だった。
配偶者の浮気に気づいたとき、感情が先に立つのは当然のことだ。それでも、その場の勢いで動く前に、まずはプロに相談して下さい。確かな証拠さえあれば、慰謝料請求にしても離婚協議にしても、落ち着いて有利に進めることができる。東京・足立区を拠点とする弊社では、初回のご相談を無料で承っている。まずは無料相談フォームから、お気軽にご連絡いただきたい。
よくある質問(FAQ)
Q. 浮気調査の最中に、依頼者本人が現場へ乗り込んでも問題ありませんか?
A. おすすめできません。感情が高ぶった状態で対象者や浮気相手と鉢合わせすると、口論や暴力沙汰に発展し、かえって不利になることがあります。証拠の確保は探偵に任せ、その後の対応は冷静になってから弁護士などと進めるのが得策です。
Q. 探偵一人だけの浮気調査でも、きちんと証拠は取れますか?
A. 状況によっては一人でも証拠を確保できますが、対象者を見失う、撮影に失敗するといったリスクは高くなります。確実性を求めるなら複数名での調査が基本です。急な依頼にも可能な範囲で対応しますので、まずはご相談ください。
Q. ラブホテルへの出入りは、浮気の証拠になりますか?
A. 異性とラブホテルへ出入りする様子を撮影できれば、不貞行為を示す有力な証拠になります。一度きりではなく、複数回の出入りを押さえることで、より証拠としての価値が高まります。
Q. 浮気相手の氏名や素性がわからなくても調査は依頼できますか?
A. はい、依頼できます。相手の情報がまったくなくても、対象者の行動を調査する過程で相手を特定できることが多くあります。わかっている範囲の情報を教えていただければ、そこから調査を組み立てます。
浮気調査のご相談は、足立区の青木ちなつ探偵調査へ
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※本記事は実際の調査経験をもとにした実録ですが、依頼者および関係者のプライバシー保護のため、地名・状況・人物像など細部に脚色を加えています。特定の個人・団体を指すものではありません。



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