
実例、浮気調査 東京編①
ここで紹介する浮気調査は現実にあった実例では有りますが、依頼人が特定されない様。地域やシチュエーションを少し変えていますが、ベースや調査手法はノンフィクションです。
平成16年1月某日。
足立本社のフリーダイヤルが鳴った。会社の電話機はビジネスフォンで1~3番が一般回線で、4~6番がフリーコール。7~9が別回線のフリーコールになっていて、HP記載はオフィシャルフリーダイヤルなので、4~6番が鳴ると依頼者からの相談であると分かる様になっている。稀に新卒営業の人からフリーダイヤルにかかって来ることも有るが、その時点で社員教育の行き届いていない会社だと分別は出来る。また、TVの制作会社のADさんにもこの手の方が多い。チョット会社概要のページを見てもらえれば一般回線が載っているのに。
2コール目ほどで、事務員が受話器を取った。ほんの少し黙っている。フリーコールは掛けた側に「ただ今、フリーコールでお繋ぎしています」とガイダンスが流れるが、会社側には東京からならば「東京 東京」埼玉からならば「埼玉 埼玉」と、どこからかかって来ているかの、ガイダンスが流れるシステムになっている。これは、別にインチキをしている訳では無く。昔の様に距離で電話料金が変わって来た時代に考えられたもので、今ではどこに掛けても電話料金は一律なのであまり意味を持たないのですが、どんな業種でもそうでしょうが探偵業を営んでいる者達には、調査地域が即座に把握出来るので結構重宝するのです。
探偵事務所は、まだまだ社会的認知度が低くグレーなイメージがあるらしく、電話で相談される場合には非通知が多く例え「調査場所は東京のどの辺りですか?」と聞いても具体的に答えて頂け無いことが多々有ります。そう云った部分では便利なツールです。
前振りはこれぐらいにしておいて。
「お電話有り難う御座います。青木ちなつ探偵事務所です」と流調なハキハキした声で応える。いつも最初は「ハイ、ハイ、ハイ」から始まり。徐々に本題の受け応えに変わってきた時点で概ね、浮気調査なのか素行調査なのか結婚詐欺の相談かが電話の声を聴いているだけで概ねの判断は出来る。
調査の相談内容は、浮気調査。ひと通り聞いた時点で面談のアポが取れ、明後日の17時に事務所に来るとのこと。当日、40歳前後の結構ハンサムな男性が事務所の応接室に座っていた。「探偵事務所ってこんな感じなんだ・・」と、想像しているかの様に。キョロキョロと応接室の一つひとつを見ていた様子が見て取れた。
ファーストコンタクトは「寒く無いですか?」と、問いかける。いつもの如くこちらから声を掛け、相談者のリアクション。笑顔を見せてくれるのか否かで、相談者の性格などをおぼろげながら取り敢えず、見てみる。これは、20年近く相談者に対してして来たことだが、相談が始まるとあまり意味を持たないことも知っている。そして、たったまま名前を名乗り名刺を渡す。この時、前述したように探偵事務所にはまだまだ、不信感をお持ちの方が多いので、ほとんどの相談者は自分の名刺を出そうとはしない。(営業職の方が仕事の合間に来られる場合は条件反射の様に名刺を出される方は居ますが・・・。ただ、企業調査のご依頼の時はほとんどの方から名刺は頂戴出来ます)
そして、お互い椅子に腰をかけて相談が始まる。「どこからお話すれば良いのか・・」と仰る依頼者さんは多く見られますがこの男性もその中の一人で、「そしたら、私から質問させて頂いても良いですか?」と、こちらから概要を聞きそれを詳細に確認し、筆記していく。
今回の依頼内容は、結婚18年目でお子さんが2人(小学3年の男の子と今年小学校に上がる女の子)依頼者さんの職業は運送業のドライバーで、夜勤の長距離もあるとの事。生活に然程困窮はしていないが裕福とまでは云えない俗に云うところの中流家庭。結婚してから16年目でようやく戸建マイホームも買い、子供達の成長を見ながら、これと云った不幸にも見舞われず極々、普通に生活をしていた。
ところが、前年の暮れに子供達にも少し手が離れ、少し表へ出たいから週2~3回。近所の焼肉屋チェーン店ででパートをしたいと云い出した。それから直ぐに忘年会やら、新年会。送別会に歓迎会などで、遅く帰る日が増えて来た。最近では朝3時過ぎに帰宅と云うこともあり、酔って帰って来たある日、熟睡している奥さんのスマホのロック解除に誕生日に数字を入れると一回で開いたとの事。
罪悪感は多少あったが、何もやましいことが無いことを祈りながらLINEを開くと、ハートの絵文字のオンパレードに露骨な文字が躍っていた。それをスクリーンショットし自分のスマホに送って、形跡を消した。
これは疑いの余地どころか、確定的な浮気であった。それから、相談し怪しい日をピンポイントで狙い打ちすることで合意し契約の締結となった。
早速、その3日後の朝。本案件の担当である、調査主任のLINEに依頼人から「明日の夕方から見てもらえますか?」と入った。スケジュール調整をして調査に備える。当日の16時、足立本社から調査員3名が出発。1月にしては結構暖かな日。
17時過ぎに調査対象者、つまり依頼人とその家族が住む自宅近くに到着。奥さんは自転車で10分程の駅まで行って、そこから一駅だけ電車に乗るのが本来のパート先への通勤経路。
17:50分頃、依頼人からLINEが入る。この日は依頼人である夫が家に居たので、出発の時間を事細かにLINEしてくれるので探偵としては非常に助かる。調査員達はそれぞれの役割分担をソツなくこなす為、折り畳み自転車を調査車両のトランクから降ろし、駅方面に位置する民家の軒先に停め待機。調査車両の運転席に1人。(運転)後部座席に1人(撮影)「もうすぐ出ます」と依頼人からLINEが入った瞬間に調査員達のグループラインに同じ文字が着信する。
「出ました!」のLINEが届いた時には調査員が目視でそれを確認出来ていた。後ろ向きに駐車してある調査車両をなんの疑いも無い、妻がスーと通り抜けて行く。その後を自転車に乗った調査員が一拍おいて、追う。
続きは
実例、浮気調査 東京編②で。
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