映画さながらの探偵の企業潜入調査③

映画さながらの探偵の企業潜入調査③

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前回までのあらすじ

200名規模の中小企業から、社員の横領を暴いてほしいとの依頼を受け、潜入調査を始めた青木ちなつ探偵調査。先に1名の探偵が潜入しおおむねの目ぼしを付けた。

 

その後、本格的に青木自身が会社へ社員として潜入。1日目の出勤となった。

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予め、経理担当の山野氏にお願いして、社員名簿と履歴書をあずかり1人ずつの名前、役職、顔写真などを貸してもらい全ての社員をザックリと把握した。

 

 

そしてまずは、練習がてらにあたりさわりの無い、大人しそうな経理の女性の面談から始めた。探偵 青木は出来る限り腰を低くし、みずからその人のデスクまで行き。

 

「面談いいですか?」と声をかける。奥の客室応接間はほぼ 探偵 青木の面談部屋にして、そこに来てもらい。

 

 

「どうぞお掛け下さい」と言いながら用意してもらった名刺を丁寧に渡す。この名刺の効果は同じ会社で同じ名刺を差し出すことによって、”よそ者”感を排除するねらいである。潜入調査での極々基礎的な小手先の技ではあるが、これが結構効くことを探偵 青木は熟知している。

 

 

対面に腰を降ろすと、その女性は今からなにを聞かれるのかと、少々緊張している様子が見て取れる。その緊張をほぐす為に探偵 青木は少し強面だが優しく微笑みながら丁寧に、

 

 

「私のことはまぁ、組合長のように思って下さい。ここで話されたことは、〇〇さんの不利益になるこであれば、絶対に誰にも漏れることが無いですから忌憚(きたん)のないご意見をおっしゃて下さいね」

 

 

そう告げて、いくぶん緊張感が取れてきたところで、

 

 

探偵 青木はノートパソコンにタイピングせず、話しをバインダーに挟んであるA4用紙にボールペンで筆記する。これは、相手から聞いたことを書いているところを全てみせて、ガラス張りにし嘘が無いところを理解させる為である。

 

 

「まず、どんな小さなことでもいいですから、今の会社に何か不満の様なものは無いですか?」と、聞く。

 

 

先程の緊張した姿とは真逆になった女性社員は、

 

 

「まずですね、制服のことなんですが、男性は上下支給なのに女性は黒系のパンツを自前で買わなきゃいけないんですけど、これっておかしく無いですか」から始まり、その制服に関しての不平をありとあらゆる角度から説明しだす。

 

 

それを聞いた、探偵 青木は作戦通り。いやそれ以上の手応えを感じた。

一通り会社の不満や満足などを聴き取りしたあと。自然な感じで違和感の無いよう。

 

 

「最後に最近、お金が無くなっているという話しがあるそうですが、なんでもイイです、噂でも想像でも。何か感じることは無いですか?」と探偵 青木が切り出した。

 

 

「お金が無くなってることは警察の方も以前来てましたので知ってはいますが、ほとんどその話を誰ともしていないので、あまり分からないですねぇ・・・」

 

 

と、何かを思い出そうといった感じでそう云ったので、探偵 青木は、

 

 

「ハイ、それでは今日はこれで終わりますが何か会社のことでいいたいことがあればいつでも私を呼んで下さい」

 

 

そう言って、1人目の社員の聴き取りが終わった、おおむね30分程度。これなら1日15人くらいは頑張れば出来るかなと手応えをつかみ。

 

 

――これは案外、らくに進行出来る。そう探偵 青木は確信を持った。

 

 

取り敢えず、事務所社員の事務員さん全員の聴き取りをし安心感の噂を広げておいて、次は事務所の男性社員連中。彼らも元々営業だったが幹部候補生と認められると、上の事務所にあがり現場には出ない。

 

 

その中でも何人かは、明らかに青木に対して敵意を持っていると思われる者もいたが、探偵 青木と面談したあとにはそのよそ者的な感じは完全に消えている。その中でも、支部長の次に期待されている男性社員は、

 

 

「こいつに自分の地位を脅かされるのじゃ・・」そんな懸念があったようだが、ひとたび青木と話しをすれば赤子の手をひねるようなもの。それが青木の探偵として、また人間力の凄さの所以(ゆえん)である。

 

 

基本的に、上の事務所社員の連中の中に犯人がいるかも?とは爪の先ほども思ってはいない。しかし狙いは「どんな話するの」と、仲のイイ社員は必ず聴き取りが終わったの社員に聞く。すると、それが自然と広がるであろう。そうして、他の社員達を安心させることと、本命と思しき営業社員達の耳に入れること。面談の最後に聴く本丸の『噂話・想像』を聞き溜めることが目的である。

 

 

そして、3日ほどで事務所の社員達との面談を終え。次にいよいよ、噂話や想像で出て来た名前などのレポートをもとに、営業社員達との面談が始まった。

 

 

それは、営業先から早く帰って来た社員からの聴き取りから始めたが、本命と目される者は出来る限り後半に回して名前の挙がってない社員から先に面談をする。これは、1人でも多くの『噂話と想像』を集める為にである。

 

 

まず、1人目の営業社員から聴き取りを始めた青木だが。事務所の社員達と然程 変わらず話しは進行していく。本件とは別な話しだが、さして大したことでは無いにしろ、会社への不満が多いのと事務所の社員と営業の社員との確執が多いことがおまけの様についてきた。

 

 

思わぬオマケを社長に報告しながら社員それぞれの性格分析を雑談の様にしていると社長は青木に「もしも、この仕事が終わったあとでもコンサルティングとして契約してくれませんか?」と、青木の眼力に社長は惚れこんでしまっていたが、あくまでも探偵である青木は、ただ笑みを浮かべて「ね・・。これが終わってからゆっくり話しましょう。私はコンサルをするような知識も有りませんし一介の探偵ですから」と、受け流した。

 

 

 

青木は全社員とすれ違う度に「お疲れ様です」と必ず丁寧に挨拶をしていた。そして営業社員の聴き取りを始めてから、2日目。青木が階段で下へ降りる時。今回、探偵 井口のレポートで一番怪しいと目され、事務所の社員の聴き取りでも何度か名前が出てきている、本命Fが上がって来た。Fと青木が対面するのは初めてのこと。

 

 

青木がすれ違いざまに「お疲れ様です」といつもの様に挨拶をするとFは、あからさまに不愉快な顔をして完無視。

 

そして、同じく大本命のBとすれ違った時には、Fを上回るほどの態度で青木を睨み付けてくる始末。この両名だけが他の社員達とは、明らかに態度が違う。

 

 

―― 分かり易い奴らやなぁ・・。

 

と、思うのと同時に青木はこの2人に怒りがフツフツと湧いてきた。

 

―― この若造・・。まぁ見とけよ、必ずあばいてやるからな。もっともっとイキッとけボケ・・。

 

青木はこう言った、状況が大好きでもっと怒りの頂点に達する方がモチベーションが更に上がる、少し変わった性質なのだ。

 

映画さながらの探偵の企業潜入調査④へ 続く・・・。

 

 

 

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