
教えて探偵さん。浮気相手が複数の場合③
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教えて探偵さん。浮気相手が複数の場合②のラスト部分
東京駅に着き、丸の内側のショッピングモールの小さな「東京バナナ」の店舗の前でご主人が立ち止まり、スマホを出して操作し始めた。
「東京バナナって・・。」なんとベタな場所で待ち合わせ?
この位置、東京駅丸の内ショッピングモールは、広いので対象を見張るには絶好の場所。2人のS級探偵が角度を変えた場所から、ご主人の動きを細かに見ている。しかし、このご主人、電話をし出してからウロウロとあっちへこっちへと歩きながら話している。
その程度のことは探偵にとっては、さして問題では無く人混みも多く2人の探偵はなんなく尾行する。
その時、新人探偵『茂くん』からインカムで
「東京駅に着きました!」と通電。
「丸の内側に来て、対象とオレ達は構内にいるから」
「丸の内側ってどこですか?」
少々イラついたS級探偵は「その辺の人に聞けばわかる」
「その辺の人って、通行人ですか?」
「誰でもいいから聞けよ!」
いよいよ、辛抱の限界で、S級探偵も声を荒げた。それにも関わらず、茂くんは
「ハイ!分かりました!」
と、何等気にしていない返答。
それから20分近く経って・・・。
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相変わらず、対象であるご主人は電話しながら、そっちこっちをウロウロしている。
その時 笑顔でこっちに向かってくる、茂くんの姿を確認した。1人の探偵が慌てて、茂くんの元へ駆け寄り
「車はどこに停めた!」
「タクシー乗り場のとこです!」
「駐禁切られるからすぐに車に戻って!それと茂くんは対象に見つかってるんだからこっちへ来ないでいいから!」そう言うと。茂くんは
「分かりました、おなかが減ったから何か食べてもいいですか」
「ハイハイ、何か買って車の中ででも食べといて、車はタクシー乗り場のとこやね」
「ハイ!そうです」
「ふぅ・・・」とため息をついてようやく対象に気付かれることも無く、なんとか茂くんを戻した。
それから、15分程して、東京バナナの前で、ようやくご主人は女性と接触。お世辞にも綺麗とは言えない40半ばくらいの女性。
そして、2人は駅を出てタクシーに乗る雰囲気満載。直ぐに茂くんにインカムで「茂くんこっちへ回って」と言っても返答が無いので、茂くんの携帯に電話するも、話し中。
仕方無いので、車へ猛ダッシュし笑いながらおにぎりを食べて電話している運転席のドアをおもむろに開けて
「どけ!」と言って、運転を変わったS級探偵。そのまま、タクシーを尾行しようにもご主人と接触女性が乗ったであろうタクシーの分別がつかない。
とにかく、猛スピードで3台の信号待ちのタクシーの乗客を見るも居ない・・・。
その時、運転している探偵の携帯が鳴った。もう1人のS級探偵からだった。
「今、台東区の方に向かっています、もしホテルならば湯島あたりかと」
「了解、そのまま追って下さい。オレも直ぐに後を追うから」
もう1人の探偵が、何かあってはまずいと思い先にタクシーに乗って、対象両名を追っていた。
すぐに間は詰まり、
「そのタクシーのナンバーは何番?」と電話で聞く。
タクシーの運転手に聞いて即座に答える。「対象のタクシーのプレートは」
「オレンジのタクシーで31-51です」
直ぐに探偵の乗ったタクシーは見えた。
「今、後ろに着いたから折りのいいところでこっちに乗って」といい、二つ目の信号でタクシーを降り調査車両の後部座席に探偵が乗り込んだ。ここから、実質的な車両尾行の始まり。その緊張の中、茂くんが、
「もうちょっとで駐禁切られるとこでした」
と、笑いながら話す。
「あの緑の服着たオッサンが2人なんか車の周りをウロウロしてたんで、おーい今、動かすから待った!って言って追い返してやりましたよ」
車両尾行中の2人の探偵はその言葉にいらだってはいたものの、終始シカト。
※注釈
一般の車両を尾行するよりも、タクシー尾行の方がいくぶん楽。ましてや東京の日中で、車の量が凄い。何故タクシーを尾行することが楽だというと、基本タクシーに乗った客は後ろを気にしない。
仮に、運転手が、変だなって思っても滅多なことが無い限り客に「何か車が付いてきてますよ」なんて言わない。そんなことを言って間違いならば客は「なに言ってるの?」ってなるでしょうから。
また、こっちは尾行のスペシャリスト。そう簡単に気付かれる様な尾行はしない。
そうこうしているうちに、ヤハリ湯島のラブホテル街にタクシーは進む。そして、いよいよラブホテルの駐車場にタクシーが入って行く。そのまま30秒ほど待って、調査車両もホテルの中に入って行った。これはタクシーから降りるところを撮影したいから、タクシーの料金を払い終わって降りるところ押さえる為だ。
続きは・・
教えて探偵さん。浮気相手が複数の場合④へ
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