
探偵による浮気調査 実例③
前回までのあらすじ。
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青木ちなつ探偵調査に、専業主婦の依頼者から 夫が会社の取引先の接待で北海道の札幌へ行くと告げられが自宅の夫婦共有パソコンに『札幌ツアー』の確認メールが返信されていたのを発見。
そこには、同級生でもある夫の会社の社長と見知らぬ女性2人の名前があった。間違い無く不倫グループ旅行だと確信した妻は早速、飛行機往復の便名の情報を持って浮気調査依頼。
青木ちなつ探偵調査の運営会社オフィス青木クルーの取締役である、青木とベテラン探偵、梅田調査員、若いがその生まれ持っての探偵センスを持つホープ中村の3名で、調査に出発。
無事、新千歳空港までたどり着いたが、第一難関である千歳空港から、レンタカーの段取りに走る青木・・。
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ようやく、それらしいレンタカー屋の送迎車を見つけた青木は直ぐに後部座席に乗り込み。「チョット急いでもらえますか」と運転手に告げる。幸いこの時間の送迎は青木1人だった。
運転手は「分かりました5分くらいなので」と言って、車をゆっくりスタートさせて丁寧に走る。
――急いでっていうてるのに・・。まぁゆったりやな・・。
青木はそうは思ったが、口には出さなかった。どうせ5分で着くのなら、また渋滞する様な道じゃないし。
そして、キッチリ5分程で送迎車はレンタカー屋に着いた。
――なんじゃこのこ汚いレンタカー屋は・・
町の片隅にある草がボーボーに生えた、潰れた古い中古車屋の様なところ。しかし、そんなことはどうでもいい。一刻も早く段取りをして、他の探偵達と合流しなければならない。
グレーと白のアクアが2台少し奥に置いてあった。
「どっちですか?」
「それじゃないよ、コレ」
一番手前に運転席のドアが開いたままの車を指さしながら、レンタカー屋の太った店主らしき男がいう。
青木は目を疑った。20年はゆうに超えてる古いセダン。それよりもビックリしたのが、毒蛇か毒キノコの様な、やらしい赤色。
「白かグレーって言ったよね」
店主らしき男は何も答えない。青木はもう一度
「白かグレー段取り出来たって言ったよね!」と少しキレ気味にいうが、店主らしき男は
「これですよ」と悪びれた様子のかけらもなくそう言い放った。
「こんなもんあかんよ!そこのアクアにしてくれ!」
と、イライラしながら言うも、店主らしき男は全く意に介さず。
「ダメですよコレ」
青木は言いたいことは山程あったがそんなことよりも現場に戻ることの方が先決なので、直ぐに
「分かった、はよ手続きしてくれ」
と、イラつきながら了承し、レンタカー屋の中で書類にサインをして、店主らしき男の説明には、
「ハイハイ分かってるから、とにかく早くしてくれ」と言って毒蛇色のレンタカーの運転席に乗り込むと、従業員の男性が
「傷の箇所確認してもらえますか」
と、いうが青木は
「そんなもんどうでもエエよ、返す時に傷増えてたら払うからどいて」
と言って、ドアを閉めた。シートベルトをしてカーナビを合わせ様としたら、これもまた随分と初期の古いナビのようで使い方が分からない。青木は諦めて、スマホのグーグルマップに入力して、そのまま新千歳空港へ取って返した。
青木はスマホをスピーカーにして、梅田に電話をかける。
「状況は?」と聞く。電話口の梅田は
「まだ、空港内にいます」との返答。
ホッとした青木は、少し空いている助手席の窓を閉めようとしたが、壊れているのか窓は下には降りるが、上げるとさっきと同じ場所まで止まる。千歳空港に間にあうことが分かったのもあって、改めてレンタカー屋への怒りが沸々と湧いてくるが、今更どうなることでも無いので、この期に及んではどうでも良かった。
通常、探偵が調査に使う車輌は白かグレー。車種によっては目立たないガンメタとか黒の地味などこにでも走っている様な車が定番。こんな毒蛇の様な色の車で尾行でもしようものなら、たちまちバレてしまう。
新千歳空港に戻った青木はグルッと周って、空港バスの停まっている、場所から15m程前に毒蛇車を停めハザードを出して、車から降り、梅田と連絡を取りながら、空港出入り口前で合流。
不倫カップルグループは、2組に分かれてそれぞれ違う空港内にあるラーメン屋に入ったとのこと。それは中村がシッカリと空港内で見張っている。
こういった行動パターンから、この不倫カップル達の親密度が想像出来る。初めてのデートであれば、例えラーメンの味に好き嫌いがあったとしても、最初からこんな行動は取らない。例え親和性が高い不倫カップル達としても、飛行機で北海道に来ているのだから、普通は同じところに入る。でないと、2組で来た意味をなさない。
それにしても、それぞれの不倫カップルが、こういった行動をする時。全くの想定外であってもいちいち驚きはしないのが探偵の調査である。
「変わったことするよね」とは思うが、それ以上は考えない。現実をただ追うだけ。
青木は梅田に「二組に分かれてるのなら、中村をフォローしてやって」と言うと梅田は空港内に入って行こうとしたが、直ぐに戻って来て。
「レンタカーはどこですか?」
青木は「エエやっちゃ腰ぬかしなや」と言って梅田を毒蛇車の後ろまで連れて行き
「これ」と指さす。梅田は一瞬絶句して。
「嘘でしょ?」と笑いながらいう。青木は
「エエやろ。チョット写メしとこか」というと。梅田は大笑いしながら
「凄いですね!深紅ですか」
「とにかく、中村のとこへ行って状況を知らせて」梅田は指示に従いそのまま空港内に入って行った。
それから、40分ほど経って梅田から青木に
「まだ、土産物を買っていてそれを宅急便で送る段取りをしています」
まぁ、到着した空港のロビーで土産物を買うのは初めて見た。普通は旅終わりや、その道中で買うのが一般的であるが、この不倫カップル達は結構、合理的な感覚の持ち主なのか、ただ、変わっているのかが分からない。
この辺りでこの不倫グループ達は、マニュアル通りの動きはしないことが分かりはじめてきた。ここからが熟練探偵の腕の見せどころである。
そして、青木に梅田から連絡が入った。
「空港バスに並んでます」
――空港バス・・?
これもまた想定外の動き。梅田と中村はバスに乗り込む不倫グループ達の様子と空港バスのナンバープレートをビデオに収めてから、青木が待つ毒蛇車に笑いながら乗り込んできた。
探偵による浮気調査 実例④につづく・・。
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