
実録 探偵VS結婚詐欺師 ③
前回まで
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これで、被害者さんも客観的に見れているので、少しばかりの「詐欺じゃなかって欲しい」という一縷の望みさえも、空虚感が全身を支配し、貸したお金を返してもらうことだけに、集中しはじめる。
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2時間近く経った頃、ようやく2人はカフェから出て来た。結婚詐欺師がいくぶん不機嫌な面持ちで、被害女性の前を歩き、その後を被害女性が付いて行く。
そのまま、駅のロータリーで、2人は別れた。
別れてから、被害女性の視線が結婚詐欺師から離れた瞬間、詐欺師は急に猛ダッシュで走りだした。半端ないスピード。その後を調査車両を運転している探偵以外の4名の探偵が走って追いかける。結婚詐欺師は後ろを振り返ることも無く走り続ける。
周囲で囲んでいた我々探偵達が詐欺師側に見つかったいたことは、長年の経験から言っても有り得なかった。それだけ細心の注意を払っていたので、走り出した意味が全く分からないが、そんなことはどうでもいい。とにかく探偵達は詐欺師を見逃すわけにはいかないので、ただ ひたすら走って追うしかない。
しかし、その詐欺師の足の速さは全く衰え知らずにスピードを落とすことなく走り続ける。さすがに、年のいったベテラン探偵は息が続かなくなり2人が脱落。1人のベテラン探偵が、すぐさま歩道橋の上に上がり詐欺師の姿を俯瞰できる場所に陣取った。
すると、一番若い28歳の男性探偵が凄い走りでドンドン詐欺師との間を詰め出した。歩道橋の上で詐欺師の動きをみているベテラン探偵がインカムで、
「そこのセブンを左に曲がった」
と、追っている探偵に知らせる。勿論、それに反応している余裕はないが、ドンドン間を詰めて行く。
セブンイレブンを左折したところで、3名の探偵達からの視界から2人とも消えた。後は任せておくしか方法は無いが、残った探偵達も足を棒にして、息切れをこらえて、なんとか消えた場所をたどって後に続いた。
その時、間を詰めて追いかけた28歳の探偵から。
「〇〇〇〇〇ホテルに入りました」と、呼吸の乱れも感じさせない淡々とした声がインカムを通して探偵全員に通電。みなが安堵し、そのホテルに向かった。そして、全員がホテル前で合流した。
その若手探偵の説明を聞き、2ヶ所ある出入り口が見える場所を確保し、結婚詐欺師が出て来るところをカメラで押さえることに集中。
聞けば、その若手探偵は50mを5,7秒。100m 11秒台で走る俊足。お酒も飲まないので、仕事休みの退屈な夜には10km程度走っているとか・・。
「そりゃ・・早いはずだ・・」また、その日までそれを一切 今まで話していなかったのが、また粋な男だと皆 感心しきり。
さすがに、それだけ走しりながらだった為、詐欺師がホテルに入るところまでは撮れなかったらしいけど、セブンイレブンを曲がって、もうひとつ角を曲がった時、勢い余って詐欺師を追い越しかけたとか・・・。
なにはともあれ、お酒を飲まない身体能力の高い真面目な若者の凄さを改めて知らされた瞬間でした。
そして、ベテラン探偵の予測は。
後ろを振り向かずに走った理由を分析。
①過去にこう云ったことで、探偵や警察に追われたことがある。
②被害女性の態度に違和感を持って、念の為に全力で走った。
③ホテルに別の女性を待たせていて、その支払いを今回の被害者さんからもらわなければホテルから出れない。
これが、③の理由ならば、どうしてホテルから出て来るのか・・?
あれこれ予想をしても、結果は分からないので取り敢えず、そのままホテル前で張り込みを続けるしかなかったが、ほどなくして違う女性と出て来て、駅まで歩きそのまま2人は別れた。
その後は、ゆっくり歩いて池袋駅から電車に乗り、なんの警戒心も無く帰宅するところを4名の探偵達が尾行し無事、極悪結婚詐欺師の自宅を特定した。
続きは 実録 探偵VS結婚詐欺師④へ
探偵東京・浮気調査・結婚詐欺調査<足立区・池袋>青木ちなつ探偵事務所へ
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